コンジョイント分析によるアンケート調査事例

2011年3月31日(木)
ハロー!データマイニング 米谷 学

テーマ: 18通りの弁当メニューのうち、どれを食べてみたいですか?

概要:

Twitterやメールマガジンなどを通じて、アンケートにご協力いただいた皆様には、お礼を申し上げます。
また、いろいろなご意見や感想をいただいた方もおられました。大変ありがたく思います。

2011年3月25日(金)〜29日(火)にWebを通じて、次のようなアンケートを行いました。

分析手法は、「コンジョイント分析」と呼び、このアンケート回答データを簡易にExcelで分析できる事例として紹介します。

アンケートの設計や分析過程の具体的な話は、書籍や今後の教材に譲るとして、ここでは、アンケートの設問と結果をお知らせします。
また、回答の評価方法から、「食べてみたい」を10点、「食べてみたくない」を0点、「どちらとも言えない」を5点とし、
分析方法は、「回帰分析」を利用しました。

回帰分析を使うために、評価の良し悪しに影響する他の項目は何かを考えます。
それが、「ご飯の種類」・「主なおかず」・「その他のおかず」と言った内容になります。
そして、評価が最も高くなる組み合わせはどれか、また評価により影響する項目はどれかを探ることが期待できます。

回帰分析はExcelのデータ分析ツールを利用しました。


分析結果:

次の数値は、回帰分析の実行結果から抜き出したものです。
詳しい説明は書籍等に譲りますが、例えば「ご飯の種類」の「白米」が0.05、「玄米」が0と出ています。
つまり、「ご飯の種類」は「玄米」よりも「白米」の方が「より食べてみたい」と評価されていることを示します。

また、ご飯の種類の「白米」が0.05、「玄米」が0なので、これらの差は0.05です。
これが評価に影響を及ぼす度合いを表します。

「主なおかず」の中で最も評価されている種類は「ハンバーグ」であり、値が最も小さい「から揚げ」の0との差を求めると、0.51です。
よって、「ご飯の種類」よりも「主なおかず」の方が、より評価に影響していることがわかります。
つまり、全体34名の回答からは、「ご飯の種類」は、他の項目に比べ、比較的評価を左右する項目ではない、と言えます。

全体(34名)の結果−式前半

全体(34名)の結果−式後半

また、数字は評価の程度を表します。
各項目で最も高い種類を選べば、最も評価が高くなる組み合わせがわかります。

この全体(34名)の例では、 「ご飯の種類」は「白米」、「主なおかずの種類」は「ハンバーグ」、
「その他のおかず」は「卵焼き」、「主な野菜」は「温野菜」、「野菜の量」は「多め」、「漬物(の種類)」は「桜漬け大根」、
「ご飯の量」は「普通」、「価格」は「390円」が最も評価が高くなる組み合わせだと考えられます。
「切片(読み:せっぺん)」の値も含めて足し算した評価の合計は、8.38です。

また、それぞれの内容について、組み合わせを変えると、評価(得点)はどのように変化するかをシミュレーションすることが可能になります。
今回の事例のように消費者が直接購入・利用するものは、価格が比較的評価を大きく左右すると現れることが多いので、
アンケートの設計段階で、価格の種類はどのようにするかを熟考することが必要でしょう。

●影響度●

評価への影響度合いを棒グラフにしました。

全体(34名)の結果−影響度の棒グラフ

全体34名の回答に基づいて分析した結果、評価を左右する影響度の高い項目は、「価格」が群を抜いています。

次いで、「主な野菜」、「その他のおかず」、「野菜の量」と続いています。


層別の例(男性のみ:21名)

男性21名の回答を基に、上で示したような式とグラフをご覧ください。

男性(21名)の結果−式前半

男性(21名)の結果−式後半

男性(21名)の結果−影響度の棒グラフ


層別の例(女性のみ:13名)

女性13名の回答についても、以下のように示してみました。
男性のみの場合と比べて、価格だけが重要な項目ではない点は、明らかに違います。
重要度合いは、他の「その他のおかず」、「主なおかず」、「主な野菜」、「野菜の量」にも分散されています。

また、それぞれの項目の評価についてもご覧ください。
「ご飯の種類」は「玄米」の方が評価が高く、「ご飯の量」は「少なめ」の方が評価が高くなっています。

女性(13名)の結果−式前半

女性(13名)の結果−式後半

女性(13名)の結果−影響度の棒グラフ


その他:

まず性別で分けた分析では、傾向に違いが現れました。
その他に質問した年代別、または購入頻度別は、各属性の人数が極端に少なくなるので、良い結果が現れるかどうかは、これからやってみます。
できたら属性ごとに15名〜20名は回答が欲しいという感触はあります。

なお、回答の属性別人数は次の通りでした。

 ●性別: 男性=21名、女性=13名

 ●年代: 〜10代=1名、20代=3名、30代=11名、40代=15名、50代=4名、60代〜=0名

 ●購入頻度: 月1回未満=12名、月1回程度=9名、月2〜3回程度=4名、週1回程度=4名、週2〜3回程度=2名、週4〜5回程度=1名、毎日・ほぼ毎日=2名


設問:

設問1〜18は、「食べてみたい」、「食べてみたくない」、「どちらとも言えない」のうちいずれか1つを回答していただきました。
その他の設問では、該当するものを1つ選んで回答していただきました。
(実際の回答画面では、体裁を変更しました。)

なお、全体(34名)、男性のみ(21名)、女性のみ(13名)それぞれの計算の根拠となっている評価の値も併せて示しました。

性別: 女性、男性

年齢:  〜10代、20代、30代、40代、50代、60代〜

コンビニや弁当屋の弁当を召し上がる頻度はどの程度ですか?:
 月1回未満、月1回程度、月2〜3回程度、週1回程度、週2〜3回程度、週4〜5回程度、毎日・ほぼ毎日


詳しい説明は省略しましたが、簡単な結果報告とさせていただきます。

ご協力いただいた皆様には、改めてお礼を申し上げます。


なお2014年1月に発売された共著書「EXCELマーケティングリサーチ&データ分析[ビジテク](翔泳社・刊)」では、この事例を使って、コンジョイント分析を簡易に利用できる方法、分析方法の詳しい説明を掲載しております。

詳しくはこの本をご覧ください。 どうもありがとうございました。