2025年3月アンケート調査の解説

2025年3月20日から、このアンケート調査をしています。
既にご協力いただいた方には、心よりお礼を申し上げます。
傾向を探り、今後のわたくしの講座、企業向け研修のほか、機会があれば寄稿などでも参考にしようとしています。
この記事執筆時点(2025年4月13日)では26名様の回答をいただきました。本当にありがとうございます。
また締め切っていませんが、前半のQ1~Q10まで、一定の「正解」がある設問について、解説するページを作りました。
Q1
「10時5分前には集合場所にお越しください」と言われたら、何時何分までに着けば良い?
どれか1つをお選びください。
「その他」の方は、その他の回答をご入力ください。
(1)10時3分くらい
(2)9時55分
(3)その他
NHKの調査がありました(2011年3月)
これによれば、世代によって解釈が変わることがあるようです。
多くの人達は「10時5分前」と言われれば、9時55分のことだと理解されますが、人によっては10時3分や4分と解釈する場合があるということです。
今回の調査でも、一部の方は「(1)10時3分くらい」や「10時4分くらい」と回答していました。
Q2
あるスーパーで「3個以上お買い求めの方は、10%のボーナスポイントを進呈します」とポスターが貼ってあります。
さて10%のボーナスポイントが付くのは、何個買ったとき?
該当する個数すべてにチェックを入れてください。
[1]1個
[2]2個
[3]3個
[4]4個
[5]5個
この設問には唯一の正解があります。
[3]3個、[4]4個、[5]5個
この3つとも選んでいたら正解です。
この設問のポイントは2つあります。
「3個以上」
「該当する個数すべてにチェックを入れてください」
全員「3個」にはチェックを入れて回答されていましたが、「4個」と「5個」にチェックを入れていなかった方もいました。
出題では何を求めているのかを的確に把握して、回答するということも、情報を受信するときに必要です。
そして相手に何をしてほしいのかを漏れなく示すことは、情報の発信のときに必要だと言えるでしょう。
Q3
「18歳未満は入場をお断りします」
さて18歳は入場できる?できない?
どれか一つをお選びください。
(1)入場できる
(2)入場できない
正解は「(1)入場できる」でした。
入場できない「18歳未満」は、18歳を含みません。
「~以上」、「~以下」はその数を含み、「~を超える」、「~未満」はその数を含みません。
今回は「入場できない」のが「18歳未満」なので、18歳になったら入れることになります。
約4分の1の方が、「入場できない」と回答されていました。
Q4
3月17日の来店者は、前日比10%増。
3月18日は、前日比10%減でした。
さて3月16日と比べて3月18日の来店者数は?
どれか一つをお選びください。
(1)増えている
(2)減っている
(3)この情報だけでは判断できない
正解は「(2)減っている」です。
約半数の方が正解していました。
3月16日の来店者数がわからなくても、正しい回答ができます。
仮に3月16日の来場者数が100人だとします。
すると、3月17日は前日比10%増えているので、100人+10%の10人=110人とわかります。
そして、3月18日は前日比で10%減っているので、110人-10%の11人=109人とわかります。
3月16日を100人と仮に置いたので、3月18日の109人は「減っている」と求めることができます。
Q5
年商が2021年は前年比2倍、2022年は前年比3倍、2023年は前年比4倍でした。
このように「前年比2倍・3倍・4倍」の伸び率を通算すると、平均伸び率は何倍でしょうか?
どれか1つをお選びください。
「その他」の方は、その他の回答をご入力ください。
(1)2.6倍
(2)3倍
(3)約2.88倍
(4)約3.1倍
(5)その他
正解は「(3)約2.88倍」です。
約半数の方が、「(2)3倍」と回答していました。
2020年の年商を1億円だと仮に置いたとき、2021年は前年比2倍なので2億円となります。
2022年は前年比3倍(2021年の3倍)なので2億円×3=6億円。
2023年は前年比4倍なので6億円×3=24億円です。
もしも平均の伸び率が3倍だとしたら、2020年の1億円×3×3×3=27億円となってしまい、正しくは3倍ではないことが、このことからもわかります。
「●倍」という掛け算が対象になっているので、2×3×4=24の体積の直方体があるとき、24の体積を変えずに、3つの辺の長さをすべて同じにするときの考え方を使います。
この掛け算による平均値ということで、「幾何(きか)平均」とか「相乗平均」と呼びます。
Excelでは、GEOMEAN関数を使って簡単に求めることができます。
Q6
「最高気温が低い日は肉まんが多く売れる傾向にあり、最高気温が高い日は肉まんはあんまり売れない」という傾向がある場合、「最高気温と肉まんの売上」について、どのように表現しますか?
該当する回答を一つお選びください。
「その他」の方は、その他の回答をご入力ください。
(1)反比例している
(2)負の相関がある
ただしくは「(2)負の相関がある」と呼びます。
ここで重要なのは「相関関係」です。
(例1)一方の値が大きければ、もう一方の値も大きくなる傾向にある
(例2)一方の値が小さければ、もう一方の値も大きくなる傾向にある
という関係のことを総称して、「相関関係」と呼びます。
例1の場合は「正の相関」と呼び、例2の場合は「負の相関」と呼びます。
そしてこうした傾向から例外が少ない場合は、「強い相関がある」と表現し、それぞれ「強い正の相関がある」、「強い負の相関がある」と呼びます。

肉まんの例であれば、例2にあるように、気温が上がれば売上が下がるという全体的な傾向のことを、「気温と肉まんの売上との間には、負の相関がある」と呼びます。
なお「反比例している」は、100 → 50 → 33 → 25 → 20……のように、はじめの値から2分の1、3分の1、4分の1……と減ってゆくことを指す言葉です。
逆に「比例している」というのは、はじめの値から2倍、3倍、4倍と増えていくことを指す言葉です。

反比例と負の相関とは、あくまでも別な意味の言葉であることを、ここで理解しておきましょう。
ちなみに「反比例している」と回答した方は6割以上いました。
Q7-a
このデータをご覧ください。
薬を飲んだら
・効果があった:回答者数 100人
・効果が無かった:回答者数 0人
ある症状を発症している100人が薬を飲みました。
翌朝検査したところ、100人とも症状を鎮める結果が出ました。
さてこの情報から、この薬は症状を鎮める効果があると言えるでしょうか?
該当する回答を1つお選びください。
(1)効果があると言える
(2)効果があるとは言えない
(3)この情報だけでは判断できない

「(3)この情報だけでは判断できない」がもっとも適切な回答です。
100人中100人が薬を服用した翌朝の検査で「効果があった」とわかったものの、次の点を「疑う姿勢」が必要です。
それは「同じ症状があっても、薬を飲まなかった集団(100人)の検査結果は?」です。
薬を飲まなかった集団のことをここでは「対照群」と呼び、薬を飲んだ集団のことを研究では、「介入群」とか「実験群」と呼びます。
薬を飲まなかった集団も翌朝に検査して、仮に100人中98人の症状が鎮まったことがわかった場合、薬を飲んだことの効果を評価しづらいのです。
今回は薬の例でしたが、行政や企業の施策の評価も、「やってもやらなくても結果は変わらないのに、やったことを殊更持ち上げる」という様子は存在するものです。
特に薬は「治験」といって、数百名ずつのランダムな試験を実際に、何度も行っています。
Q8
ペットボトル飲料の消費量について、100人にアンケート調査をしました。
この結果、消費量の平均は、「1週間で平均5本」と求めることができました。
この情報から、1週間の消費量について「確実に言えること」は次のうちどれでしょう?
該当するものすべてをお選びください。
(1)もっとも多かった回答は「5本」だった
(2)5本以上と回答した人は、全体の約半分だった
(3)100人の合計消費量は、500本だった
正解は「(3)100人の合計消費量は、500本だった」だけです。
(1)もっとも多かった回答は「5本」だった
(2)5本以上と回答した人は、全体の約半分だった
はいずれも、「そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれない」のです。
平均値は、データの分布という情報を持ちません。よって、「確実には言えないこと」に当てはまります。
情報でもそうですが、そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれないことまで、「そうだ」と断定して決めてかかっている様子はありませんか?
情報に接するときは、
・わかっていること、確実に言えること
・わからないこと、確実には言えないこと
・わからないことや確実には言えないことを明らかにするために、他にどういう情報が必要か
この3つを整理するところから始まるのです。
確実に言えないことまで「そうなのだ」と決めてかかることで、居心地悪くなる必要もないのです。
Q9
「9を2乗する」
どんなことをするか、あなたはイメージできますか?どれか1つをお選びください。
9を2乗するのは、92と書き、これを翻訳すると、
9 × 9
と「9」という同じ数を2回掛け算するよ、という意味です。
Excelでは、 =9^2 と入力したり、=POWER(9,2)と入力することで求めることができます。
Q10
「16の平方根をとる」
どんなことをするか、あなたはイメージできますか?どれか1つをお選びください。
これは「2乗すると16になる数を求める」という意味です。
同じ数● × ● = 16
この●はいくつか?ということです。この場合は「4」です。
2分の1乗(0.5乗)と同じ意味です。
手計算では難しいのですが、Excelでは、 =16^(1/2) とか =POWER(16,0.5) または =POWER(16,1/2)と入力しても求めることができます。
Q11
「偏差値」とはどういうものか、知りたいですか?または興味ありますか?
どれか1つをお選びください
偏差値とは、テストの種類が異なっても、点数の平均値やバラツキ具合を均して比較・評価できるために、点数から変換した値のことを指します。
平均が50、標準偏差が10になるように点数を変換して求めます。
「標準偏差」とは、平均値からどれくらいバラついているかを表す指標で、標準偏差の値が大きければ大きいほど、平均値からバラついていることを表します。
点数が60点でも、平均が40点のテストと、平均が80点のテストとでは、評価を異なるようにします。
そして点数が60点でも、平均が40点のテストと、平均が80点のテストでも、標準偏差が5の場合と20の場合とでは、平均点から点数が離れれば離れるほど、偏差値は50から離れる特徴があります。
ちなみに平均値が70点、標準偏差(平均値からのばらつき具合)が15だったとき、点数が55点だったら偏差値は40、点数が85点だったら偏差値は60になります。